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今さら聞けない「マト」と「シルベ」の使い分け

そういえば、「目的」も「目標」も「目」という漢字が頭についてる。 ドーシテ?と調べてみると; 目的: ・「目」は、「目指すところ」や「焦点」を意味する ・「的」もまた「目指す対象」を指す(そもそも「マト」だしね) ・したがって、「目的」は「目指すべき最終的な到達点」や「焦点を当てるべき最終的なありたい姿」といった意味合いを持つ 目標: ・「目」は「目的」と同様に「目指す」という方向性を示す ・「標」は「標識」や「目印」といった意味を持つ(そもそも道標の「シルベ」だしね) ・つまり、「目標」は「目指す方向にある具体的な目印」や「目的を達成するための段階的な指標」といった意味合いを持つ ということらしい。そりゃそうだ。 どちらのワードも漠然とした方向ではなく、「目」という漢字で、ある一点や方向性を「見据えて」「定める」というニュアンスを表現しているらしい。その他、「目」がつく言葉には「目安」「着目」「目次」など、何かを意識したり、見定めたりする際に使われるものが確かに多いな。 へぇ、だから「目」なのね。 この辺りの理解を踏まえて、目的と目標の定義を整理してみると以下のようになるんだろうね。 「目的」はObjectiveやPurpose: ・目指すべき最終的な到達点 ・どちらかといえば抽象的で定性的 ・長期的 「目標」はとりあえずのGoal: ・目的を達成するための段階的な指標(目指す方向にある目印) ・どちらかといえば具体的で定量的 ・短期的 つまり、「目的に紐づく複数の目標を達成しつづけることが目的の達成につながる」ってことなんだよね。だけど、この定義はまだ抽象的でこのままではどうも解像度が低い。 ハイ、ようやく本題。 みんなは目的・目標がどういう意味を持ち、どう使い分けるべきかをきちんと理解してる? ボクはそうでもなさそう。いまさら聞けない・・ってなわけで本記事では、 ・目的と目標の使い分けについての理解を深めるには ・その理解を基にしてどうやって目的と目標を設定していくのか この2点について考えてみようと思います。

「知っている」と「分かっている」は全く違う。

  Appleに買収される前のSiri社の共同創業者である Tom Gruber も、IDEOが運営する Creative Confidence Podcast で声高に述べているように、生成AIはあくまで人間の能力を増強(Augument)するものなのであって、人間の能力に置き換わるものではない。 少なくともそうであるべきだというのが彼の主張、それにはボクも200%同意。 過去記事「オレ流AIとの付き合い方」 でも類似することを書いた。つまり、自分で考えることを放棄すべきじゃない、と強く思ってる。 考えることをAIに委ね、自分はそれを放棄したとして、果たして自分は依然として自分なのか。 いいえ。 それは、外見は夏油傑だが実体は加茂憲倫であることと同じで、もはや自分であるはずがない。 ーーー 例えば、Geminiに、Back to the Future part1(以下BTTF)のストーリーを100文字以内にまとめてもらうとこうなる。 「高校生のマーティは、科学者ドクの作ったデロリアンで1955年にタイムスリップ。両親の出会いを邪魔してしまい、自分の存在が消滅の危機に。現代に戻るため、両親を再び結びつけ、ドクと協力して未来へ帰る。」 Back to the Future part1を観たことがない誰かにこの文章を見せたとき、その誰かの状態はその映画の内容を「知っている」となるのか「分かっている」となるのか。 まず、それぞれの定義は以下のようなものになるのだと思う。 知っている ある特定の事柄についての情報を持っている状態 持っているのは、断片的且つ表層的なもので情報の背景や関連性は限りなく曖昧 であるので、その認識に対して質問を受けたとしても、回答や説明は困難 分かっている ある特定の事柄について明瞭な理解を持っている その理解は、感情や経験が伴い理論的・感覚的にその意味や背景を実感できているもの であるので、その認識に対してどんな質問を受けたとしても、回答や説明が可能 この定義を踏まえて、BTTFの例に戻ると、上記の文章を見たとして、その映画のあらすじについて「知っている」とは言えても、キャラクターたちの飛び交う感情やその背景までを掴めている状態では絶対にない。つまり「分かっている」状態ではない。 主人公Martyの友人であるDr.Emmett Brown...

コーポレートバカなんス

日本において企業統治が注目され始めて久しい。 改めてそれって何?と定義を整理してみようとしたんだけど、いやそんなシンプルなもんじゃあないんだね。 多方面から異論出てくるの承知で整理してみると; (1)法令:企業が事業活動を行う上で遵守すべき法律や規則を遵守する (2)モラル:社会的価値観(誠実さ、公正さ、他者への配慮)に基づき善悪を判断し、それに沿って行動する (3)マナー:日常的な職場内外での社会的な振る舞いや礼儀に関する規範を持ち、それに沿って行動する (4)業務運営:効率的な業務遂行のための規程とプロセスを定め、それに沿って活動する (5)組織文化:企業独自の価値観と行動基準(クレド)に沿った活動やそれによって出来上がった職場環境の維持 この5つが適正に行われるように監視そして調整する仕組みや制度のことを企業統治と呼ぶっぽい。 そしてこの5つそれぞれの取り決めを定めるのはどこ?+どういうことを定めるの?と考えてみると; (1)法令:立法府ーーー「個人情報保護法に準拠する」、「労働基準法に準拠する」 (2)モラル:社会ーーー「環境に配慮しない行動・活動を控える」、「ハラスメントをしない」、「差別的言動をやめる」 (3)マナー:コミュニティーーー「咳がでるならマスクを着用する」「優先席はそれを必要とするひとに譲る」 (4)業務運営:会社ーーー「社内決裁規程を遵守する」、「社内就業規則を遵守する」 (5)組織文化:会社ーーー「仲間を尊重する」「チームワークを優先する」「オープンなコミュニケーションを心がける」 そしてこれらの取り決めを遵守しない場合; (1)法令:法的罰則を受けることがある (2)モラル:法的な罰則はないが、社会的信用を失う可能性がある (3)マナー:罰則はないが、人間関係や信頼に悪影響を与える可能性がある (4)業務運営:懲戒処分(戒告・譴責・減給・出勤停止・降格・諭旨解雇・懲戒解雇)を受ける (5)組織文化:遵守の対象とはならないが、業務の生産性の低下を招いたり、文化になじめなければ組織を去ることになる そもそも (2)モラル (3)マナー (5)組織文化 この3つに「ルール」はない。 ルールは無いので「どう振る舞うか」は自分次第。自分が属する会社において、その内側に存在する「共通の経験」や「価値観」「期待」「文化」が醸成されていくことと平行して...

診断前に診察してよ。

  「二日前から39度の熱が続いてるんです・・」 「そうですか。ま、風邪ですね。解熱剤と抗生物質出しときますね。んじゃ、お大事に。はい、次の方どうぞ~。」 こんな医者を信用できるでしょうか。 いやいや診察してくれよ、って思いますよね。 頭痛・のどの痛み・痰・咳・鼻水など他の風邪症状は無いか、味覚・嗅覚異常は無いか、同居家族や仕事場になんらかの感染症(風邪、インフルエンザ、はしか、風疹、水疱瘡、肺炎など)に罹患している人はいなかったかの確認。 そして、触診・血液検査・尿検査やX線検査など必要な検査行い、それでも原因特定できないなら悪性腫瘍(がんなど)や薬剤アレルギー、膠原病なんかを疑い、その判定をするための追加検査を行う。 こういうステップを踏んで、原因を特定し、それに沿った治療方針を立てる。それでもその診断が不安が残るならセカンドオピニオンに頼ってもいいですよ、とアドバイス、という風に進めるのが医者の正しい振る舞いってもんでしょう。 ーーー 転じてビジネス界隈では、その診察を端折ってしまっているような場面を見聞きしなくもないし、さらにそのことが必ず非難されるわけでもなさそう。 例えば、以下のような症状が現れているとします。 商品・サービスの売上が伸びない 思うように採用できない このような症状に対してアナタは、診察➔診断➔治療というようなステップをきちんと踏んでますか? 商品・サービスの売上が伸びない この症状の原因として疑わなければならない領域としては、 そもそも市場のニーズはあるか 競合に比して差別化はできているか 品質そのものに問題はないか 価格・料金設定に問題はないか 顧客サービスに問題はないか 購買意欲を喚起する魅力はあるか 商品・サービスの存在が認知されているか 販売チャネルは適切か ターゲット設定は適切か サプライチェーンに問題はないか のようなことがザッと書き出しただけでも挙げられる。 これらを網羅的に評価・分析した結果を踏まえてなんらかの診断を下す、というプロセスを経てようやく売上が伸びないという症状への最も適切な治療方法を捻り出せるはず。 このプロセスを端折ってしまい、ろくな診察もせずに、 「その原因は、売上が伸びないのはプロモーションがうまくやれておらず、認知度が低いからだ。」 という診断を下し、 「なので、もっと広告宣伝費を投下し、認...